法人化のメリットデメリット

個人事業主と法人のどちらを選ぶか?

起業を目指している方に一番多く受ける質問が「個人事業主と法人のどちらが良いのか?」です。

これは永遠のテーマとも言えますし、それぞれ個別の案件によって異なりますので一概には結論を出すことが出来ません。

このような時には、税金の問題が主な要素となることが多いようです。
しかし、実際起業されている方は節税効果も考えますが、そのほかの要素を決め手としているようです。

そこで法人化することのメリット・デメリットを解説します。

法人のメリット

1.社会的信用

取引相手などから見て、社会的な信用があります。個人と会社が明確に区分されており、財産状況、 経営状況の把握がしやすいからです。

その証拠に広告や求人の際の効果が違ってくるようです。

また法律的に社会保険を充実させなければならないので、それだけでも採用には有利となります。

また、会社によっては「法人としか取引をしない」などの社内規制を設けている会社もあります。

2.社長の責任

会社と個人は全く別の人格ですので原則として出資額の範囲内で責任を負います(有限責任)。

法的には500万円の出資をしたのなら、最悪その500万円を放棄すればそれ以上の責任は問われません。

が、実際にはそんなに甘くはありません。

例えば開業当初に金融機関から融資を受けるとします。金融機関から融資を受ける際には代表者個人が連帯保証人として求められることが多いです。というより99%求められます。

つまり会社がこけると、社長個人に連帯保証人としての支払い義務が発生します。よって事業規模が小さな法人では個人事業との差はあまりありません。

実質は無限責任となってしまっているのです。

このことからも起業の最初期の段階では、融資に頼ることはお勧めいたしません。

3.事業承継

会社は、出資者や社長の死亡で消滅するわけではないので、解散などの事由がない限り存続します。 個人事業では、事業は事業主に依存します。つまり、事業主が死亡すれば、事業は終了してしまうこともあり得るのです。

法人にしておけば、解散しない限り、事業は継続するので、継続的な成長が可能です。

また、会社の資産を法人名義にすれば、原則として子供などへの事業承継時に相続税がかからないこともポイントです。

4.退職金

法人事業の場合、経営者または経営者の家族へ退職金を支払うことができます。

また、生存退職金は、退職所得になり所得税は軽減されます。また死亡退職金は、みなし相続財産となり、非課税額も大きいので税務上有利です。

個人事業の場合、事業主または事業主と同一生計内の親族へ退職金を支払うことは出来ません。

5.節税効果

法人化する上での最大のメリットはやはり節税効果です。

下に基本となる所得税(法人税)の個人と法人の税率を簡単にまとめてみました。

・個人事業の課税所得に対する税率
年間所得金額 所得税率
195万円以下 5%
195万円超~330万円以下の部分 10%
330万円超~695万円以下の部分 20%
695万円超~900万円以下の部分 23%
900万円超~1,800万円以下の部分
33%
1,800万円超の部分 40%

・法人事業の課税所得に対する税率(※資本金1億円以下の場合。)
年間所得金額 法人税率
800万円以下 22%
800万円超の部分 30%

ある程度の所得を超えると法人の方が税率が低いことが分かります。

直接的な所得税以外でも例えば、事業所得を給与所得にすることでの節税効果や事業主の福利厚生費が経費にできる事、 法人は欠損金の繰越が7年間にわたり適用される、法人は減価償却を任意で行うことができる、など多くのメリットがあります。

法人のデメリット

1.設立手続費用

会社をつくるには、最低でも株式会社は定款の認証費用、登録免許税が必要です(約20万円~30万円)。また当然、資本金も必要です。

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2.運営コスト

定期的な役員変更の登記が義務づけられています。取締役と監査役の任期は、最長10年ですが、定時の役員変更が義務付けられています。それぞれ決算期の3ヶ月以内に株主総会、取締役会で役員の選任をしなければなりません。

3.経理処理が複雑!

法人事業は、正規の会計帳簿を作成しなければなりません。個人事業では、青色申告の場合、原則として複式簿記による記帳が必要ですが、 簡易簿記による記帳も認められています。白色申告の場合は記帳の義務はなしです。

(但し前年の事業所得などの金額が300万円を超える場合は記帳義務がある)

また自力で決算を組んで、法人税等の申告書を作成することは、かなりの専門知識を必要とします。通常、税理士等の専門家に依頼すると考えられます。

その際には、報酬が必要になります。

経理処理が複雑になるデメリットがありますが、 長期的に見て公私の区別、維持すべき資本が明確になるという副産物もあり、 悪い部分ばかりではありません。

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4.法人住民税均等割

何も活動をしていなくても、たとえ赤字であっても地方税として、法人住民税均等割が最低でも約7万円かかります。

5.業種変更

個人事業は業種の制限はありません。しかし法人事業は定款の目的に記載した業種内でしか活動できません。 業種変更するには定款を変更してあらためて登記しなければなりません。

法人事業化へのタイミング

個人事業の方が法人化することを法人成りといいます。
法人成りするタイミングは一般的には年間の売上高が1000万円を超えると法人成りした方が良いとされています。

それは個人事業の場合は今期の売上が1000万円を超えたら、 その2年後から消費税の納税義務が発生します(一部例外があります。)
したがって、その納税が発生する年度に法人成りを行えば、法人設立後2年間=合わせて4年間=の消費税が免除されます。

なお、その法人設立の場合は、資本金を1000万円未満の法人にすることが必要ですのでご注意下さい。

 

 

 

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